年金は65歳まで待つものではない…私が60歳繰上げを選ぶ理由

老齢年金は原則65歳から支給されます。
一方で、60歳から繰上げ支給を選択すると、1ヶ月あたり0.4%、5年間で合計24%の減額が行われます。
この数字だけを見ると、多くの人が「繰上げ支給は損だ」と感じると思います。
ただし、私自身の前提条件に立つと、結論はまったく逆になります。
私にとって、年金は「待つもの」ではありません。
年金は、早く受け取り、主体的に回す原資となるものだと考えているのです。
年金制度は、今後も変わり続けると考えています
私は、年金制度がこの先も現在のルールのまま安定的に続くとは考えていません。
人口ピラミッドの構造、賦課方式という仕組みを見れば、すでに制度はかなりの無理を抱えこんでいます。
実際、これまでも年金は、
・支給開始年齢の実質引き上げ
・在職老齢年金の調整
・マクロ経済スライド
といった形で、少しずつ条件が変更されてきました。
おそらく今後も、「ある日突然破綻」ではなく、
気づかないうちに条件が変わっている
そうした改定が続くのでしょう。
であれば、
「ルールが比較的有利なうちに、もらえるものは早めにもらう」
これが、私の基本的な考え方です。
60歳以降も、細く長く働く前提です
繰上げ支給というと「60歳で完全リタイア」というイメージを持たれがちですが、私の場合は違います。
私は、60歳以降も、無理のない範囲で、ほそぼそと働き続けるつもりです。
というのも、私は小さな法人を保有しており、健康寿命を意識しているためです。
法人では、
・コンサルティング収入
・不動産からの家賃収入
といった売上があります。
このうち、コンサルティングは時間を売る労働になりますので、体力的にも稼働率を大幅に下げていくつもりですが、家賃収入は不労収入です。
法人には、家賃収入が貯まり続けます。
そのため、生活費を年金に依存する必要がありません。
そのうえで、役員報酬を調整することで、
・在職老齢年金による減額を抑える
・所得税・住民税・社会保険料が過度に増えないようにする
といったコントロールが可能となります。
会社員時代のように、
「働くか、年金をもらうか」
という二択ではありません。
働きながら年金を受け取り、全体を最適化する。
ここは法人経営者ならではの前提条件だと思っています。
年金は生活費ではありません
私にとって年金は、生活費の柱ではありません。
生活費は、事業収入や既存の資産から賄います。
年金は、
・そのまま資産運用に回す
・不動産投資の繰上げ返済に使う
・次の投資の頭金にする
といった「原資」として扱います。
つまり、受け取った年金には、基本的に手をつけない前提です。
この前提に立つと、繰上げ支給の見え方は大きく変わります。
私が、法人でさまざまなことにチャレンジしているのは、この状態を目指しているからなのです。
簡単なシミュレーションをしてみます
あくまでイメージを掴むための、かなり単純化した試算をしてみましょう。
・65歳からの年金:年200万円
・60歳繰り上げ支給(24%減):年152万円
・運用利回り:年3%(かなり保守的)
60歳から65歳までの5年間で、繰上げ支給により受け取る年金は合計約760万円になります。
この760万円をすべて使わず、年3%で運用し続けると、65歳時点でおおよそ880万円程度になります。
この資産をそのまま運用し続けると、
・75歳時点で1100万円超
・80歳時点で1300万円超
といった水準になります。
一方、65歳まで待って年金を受け取り始めた場合、60〜65歳の間に受け取れるお金はゼロです。
「90歳」をどう解釈しているか
一般に、年金の繰上げ支給は、82歳前後が損益分岐点と言われます。
しかし、60歳から受け取った年金を年3%程度で運用すると、この損益分岐点は90歳前後、場合によってはそれ以上に後ろ倒しされることになります。
この「90歳」という数字を聞いて、
「それでも長生きしたら損では?」
と感じる方もいるでしょう。
その考え方自体は、間違っていないと思います。
ただ、私はこう解釈しています。
「90歳前後まで生きて、その間、ずっと制度が大きく変わらず、運用もせず、ようやくトントンになる」
この前提条件をすべて満たすケースは、現実にはそれほど多くないのではないでしょうか。
少なくとも私は、
「90歳まで生きてようやく同点なら、十分だ」
そう思える年齢です。
また、90歳時点での年金総額の差が、自分の人生の満足度にどれほど影響するのか、正直なところ疑問もあります。
それよりも、
・60代・70代で、自由に使える資金があること
・判断力と体力があるうちに、選択肢を持てること
こちらのほうが、私にとってははるかに重要です。
誤解のないように言っておきますが、この考え方が万人にとって正しいとは思っていません。
・年金が生活費の柱である方
・長生きを最優先リスクとして考える方
・運用をしない、あるいはできない方
こうした方にとっては、65歳開始や繰下げ支給が合理的な場合も多いでしょう。
ただし、
・法人(プライベートカンパニー)を経営している
・投資収入がある
・年金に生活を依存しない
・制度変更リスクを重視している
・健康寿命を意識している
こうした前提に立つ限り、繰上げ支給は合理的な選択肢だと考えています。
だから私は、
「90歳まで生きたら損かもしれない」
ではなく、
「90歳まで生きてやっと同点なら、繰上げでいい」
そう結論づけています。
もちろん、これは一般論ではありません。
あくまで、私自身の価値観と前提条件から導いた、私個人の正解です。
この個人的な正解に近づくため、50代の現在、私は健康寿命を伸ばし、法人経営をして、身の回りの最適化をしているのです。
















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