あなたのおじいちゃんの医療は誰が支えるのか…少子高齢化と社会保障の現実

日本はすでに、歪んだ人口ピラミッドを抱える社会になっています。
「就職氷河期」という政策の失敗は、単なる雇用問題にとどまらず、結婚・出産・子育ての選択を狭めました。
結果として「少子高齢化」を招いてしまいました。
その結果として、働く世代が減り、高齢者が増えるという構造が固定化されつつあります。
これは一時的な問題ではなく、統計上ほぼ確実に続く長期トレンドです。
社会保障費は今後も増えていきます
人口構造がこのまま推移する以上、医療費や介護費、年金などの社会保障支出が増えていくことは避けられません。
特に75歳以上の後期高齢者は、一人当たりの医療・介護費が大きく、人数の増加とともに総額は膨らんでいきます。
これは「政策の良し悪し」以前に、人口構造そのものがもたらす現実です。
景気は良くなったり悪くなったりしますが、人口ピラミッドだけは簡単には変わりません。
その意味で、社会保障は景気よりも人口に強く縛られた制度だと言えます。
「社会保険料も消費税も安く」は同時に成り立ちません
本記事を書いているのは2026年2月、衆議院選挙の真っ只中です。
こうした状況の中で、
「現役世代の社会保険料を下げる」
「消費税も下げる」
といった主張は非常に耳障りが良く、多くの有権者に魅力的に響きます。
しかし、財源の現実を考えると、この二つの同時実現は極めて困難です。
現在の仕組みを見ると、
・協会けんぽ、厚生年金、共済年金は、会社と個人が折半で負担しており、比較的安定しています
・一方で、国民健康保険や後期高齢者医療は、それだけでは賄いきれず、公費(税金など)による補填が前提となっています
・特に後期高齢者医療では、給付費の相当部分が公費で支えられています
つまり、現役世代の保険料と税金の両方が、今の高齢者医療を下支えしているのが実態です。
ここを同時に減らしてしまえば、制度そのものが立ち行かなくなります。
成り立たせるなら、非常に厳しい選択が必要です
それでも「社会保険料も消費税も下げたい」というのであれば、別の形で大きな負担や制約を受け入れざるを得ません。
例えば次のような選択です。
・高額な薬の公的補助を縮小し、自己負担を増やす
・後期高齢者の医療費負担を原則3割に引き上げる
・マイナンバーなどを通じて金融資産を把握し、富裕層の高齢者にはより高い負担を求める
・医療サービスの質や提供範囲を絞る(サービスの低下)
これらはどれも政治的に極めて難しく、痛みを伴う政策です。
しかし、財源を減らしつつ給付を維持するというのは、算数的に不可能です。
どこかで必ず「削るか、増やすか」の選択が必要になります。
社会保障は「自分ごと」として考える必要があります
ここで忘れてはならないのは、社会保障は単なる制度論ではなく、私たち自身や家族の生活に直結しているということです。
若い世代の中には「社会保険料も消費税も下げて小さな政府にすべきだ」と考える人が少なくありません。
賃金が伸び悩み、将来不安が強い現実を見れば、その気持ちは理解できます。
しかし同時に、こう問いかける必要があります。
もし減税の代わりに、あなたのおじいちゃんやおばあちゃんの医療サービスが縮小されたら、それを受け入れられるでしょうか。
高額な薬が使えなくなったり、診療の質が下がったり、受診回数が制限されたとして「仕方がない」と言えるでしょうか。
社会保障を小さくするということは、単に政府を小さくするだけでなく、家族のケアの質そのものを変える選択でもあります。
一方で、高齢世代にも同じ問いが突きつけられています。
多くの高齢者は「医療や年金、介護が手厚い大きな政府」を望んでいます。
しかし、その財源の多くは現役世代が負担しています。
いま働く若者の賃金は伸び悩み、非正規雇用も増え、生活は決して楽ではありません。
自分の医療や年金が守られる一方で、子どもや孫の生活が苦しくなっても構わないのでしょうか。
社会保障の議論は世代間対立に見えがちですが、実際には家族の中でつながっています。
若者の負担と高齢者の保障は切り離せません。
どちらか一方だけを最大化することはできないのです。
(不公平感を争っている場合ではないのです。)
待ったなしの改革に向き合う時です
経済は上下に変動しますが、人口構造は簡単には変わりません。そのため社会保障改革は先送りできない課題です。
必要なのは、耳障りの良い減税スローガンではなく、
・誰がどれだけ負担し
・誰がどれだけ給付を受けるのか
という現実的な議論です。
そしてその議論は、単なる数字の問題ではなく、私たち自身や家族の未来に関わる問題として受け止めなければなりません。
まとめ
少子高齢化はすでに起きてしまった現実です。
就職氷河期の失敗がその一因であったことも否定できません。
だからこそ私たちは「どの世代に有利か」ではなく「家族全体の未来としての社会保障」を考える必要があります。
社会保障改革は、誰か遠くの人の問題ではなく、あなた自身の問題です。
そしてそれは、あなたのおじいちゃん、おばあちゃん、両親、そして将来のあなた自身の医療と生活にも直結している、非常に重い問いなのです。
















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