外部需要に依存する経営は、なぜリスクが高いのか 〜レジリエンスの重要性〜

最近のインバウンドやホテル価格の変化をきっかけに、経営における「外部依存」について考えてみました。
私は、フリーランスのコンサルタントです。
仕事柄、東京・大阪・地方にたくさん出張しています。
このため、ビジネスホテルの予約を取る機会がとても多いです。
インバウンド以前は、1泊8000円程度の普通のビジネスホテルの予約を取っていました。
ただ、ここ数年は、そもそもビジネスホテルの予約が取れず、同じスペックの部屋なのに、取れても1泊2万円・3万円…
ありえない状況でした。
しかし、先日の出張では、なんと簡単に1泊10000円程度でビジネスホテルの予約が取れたのです。
まさに、インバウンド以前の水準です。
これが、中国人観光客の減少や大阪・関西万博の終了といった外部要因によるものかどうかは断定はできません。
ただ、少なくとも需要環境が大きく変わり始めていることは実感しています。
外部需要への依存が進む背景
ここ数年、日本の多くの業界で「外部需要」への依存が一気に進みました。
インバウンド観光、外国人労働力、海外マネー、即戦力の外部人材。
もちろん、こうした判断は経営者にとって決して間違いではありません。
限られた人員と時間の中で、最も効率よく収益を上げようとすれば、外部需要を取り込むのは自然な選択です。
実際、大阪のホテルはインバウンド需要を背景に、1泊8000円程度だった価格が1泊2万円、3万円へと跳ね上がりました。
ホテル側からすると、稼働率は高く、収益性も改善し、「正しい経営判断」に見えたはずです。
しかし、最近になって、特定地域との関係変化や万博終了などの渡航需要の変化が起きると、予約は急減し、価格は再び元の水準へ戻りつつあります。
経営コンサルタントの立場からすると、これは、誰かの失策というより、構造上そうなりやすいビジネスモデルだったと見るほうが自然なのでしょう。
外部依存型経営のメリットと限界
外部需要に軸足を置く経営には、明確なメリットがあります。
・単価を上げやすい
・成長スピードが速い
・内部育成の時間とコストを省ける
一方で、デメリットもあります。
・為替、外交、国際情勢といった「自分では管理不能な要因」に左右される
・需要が消えた瞬間、調整手段が少ない
・内部にノウハウや基盤が残りにくい
これは観光業に限りません。
私の好きなプロ野球の運営でも同様です。
即戦力の外国人選手に成果を依存したチームは、助っ人が抜けた瞬間に戦力が空洞化しやすい。
一方、生え抜き選手を軸に育ててきたチームは、外部要因に左右されにくい。
最近は、生え抜きもメジャー志向が強くなってきたので、一概には言えませんが。
「外国人が悪い」のではない
誤解してはいけないのは、
外国人や外部リソースそのものが問題なのではない
という点です。
問題になるのは、それらを
・エンジン(本体)として使うのか
・ブースター(一時的なターボ装置)として使うのか
の違いだと思っています。
外部リソースを「上積み」として使う経営は強いです。
ただ、それが「土台」になってしまうと、環境が変わったときに耐えられなくなるリスクがあります。
レジリエンスは数字に表れにくい
近年、レジリエンス経営という言葉が流行っています。
レジリエンスとは「強靭性」という意味であり、元々は、変化への耐久力といった物理学の言葉でした。
企業のSCM(サプライチェーン)において、レジリエンスが高いと、何か有事が発生しても、入荷や出荷を止める必要がなくなります。
最近、よく出荷が止まるニュースをよく見ますよね。
あれ、企業経営にとっては、損害がとても大きいんです。
外部依存度の低い経営(野球の例で言えば、日本人だけでレギュラーを固めているチーム)は、短期的には地味です。
・利益率はそこまで高くない
・成長スピードも遅い
・評価されにくい
しかし、環境が変わったときに残るのは、
・内部で回せる仕組み
・固定客
・自前で育てた人材
こうした「耐性」は、好況期には軽視されがちです。
ただ、不況期になると一気に価値が表面化する傾向にあります。
経営判断に「依存度」という視点を
これからの経営で重要なのは、
「儲かるかどうか」
だけでなく、
「何に、どれくらい依存しているか」
を把握することだと思っています。
・外国人がゼロになったらどうなるか
・為替が逆に振れたらどうなるか
・需要が半分になっても生き残れるか
そうした問いを自問自答しながら戦略を見直ししている企業ほど、派手さはなくても、結果として長く生き残るのではないかと考えています。
まとめ:外部需要と土台(ベース)のバランス
外部需要は、使い方次第で強力な武器になります。
ただし、それは「主食」ではなく「栄養剤」に近いです。
自動車で言えば、「エンジン(本体)」ではなく「ブースター(ターボ装置)」に近いです。
土台(ベース)を、どこに置くのか。
経営戦略的には、その選択が、数年後に静かに大きな差となって現れることでしょう。
自社の経営は、何にどれだけ依存しているのか。
一度、棚卸ししてみる価値はありそうです。
















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