大阪市の不動産市況(2026年1月)…人口動態・供給不足・コスト構造から見える「簡単には下がらない理由」

はじめに
大阪の不動産市況については、
「人口減少だから厳しい」
「もう価格は天井だ」
「いや、都心部は別物だ」
といった、相反する意見をよく見かけます。
ただ、実際に大阪市内で物件を見ていると、数字や一般論だけでは説明しきれない 構造的な歪みを感じます。
本記事では、投資判断を煽ることを目的とせず、
「大阪市内の不動産で、今、何が起きているのか」
を、現場感覚ベースで整理してみたいと思います。
① 人口は減っているが、「大阪市」は別の動きをしている
よく言われる通り、
・大阪府全体では人口は減少傾向
・一方で、大阪市は微増、もしくは横ばい
という状態が続いています。
重要なのは、人口が
「どこからどこへ動いているか」
です。
・郊外 → 都心
・府内 → 市内
・地方 → 大阪市中心部
この流れが続いている以上、
「大阪府は人口減少だから不動産は厳しい」
と一括りにはできません。
② 環状線の内側は、需給構造がまったく違う
大阪市内でも、環状線の内側と外側では、市況は別物です。
特に環状線の内側では、
・単身・DINKS
・法人転勤
・社宅需要
が非常に強く、空室リスクはかなり限定的に見えます。
③ 新築マンションが「建たない」という現実
一方で供給側を見ると、
・環状線内側での新築分譲マンション供給はほぼ皆無
・建設されているのはホテルばかり
という状況が続いています。
土地は限られ、建築費は高騰し、採算が合わない。
結果として、
「需要はあるのに、供給が増えない」
という状態が慢性化しています。
④ 物件価格高騰と、金利上昇の同時進行
投資側から見ると、
・物件価格は高止まり、もしくは上昇
・ローン金利も上昇傾向
と、決して楽な環境ではありません。
その結果、
・表面利回りは低下
・フルローン前提の投資は成立しにくい
という状況になっています。
⑤ ヒガシエリア・ベイエリア開発の影響
大阪市内では、
・ヒガシエリア(京橋・森之宮周辺)
・ベイエリア(夢洲・此花区)
で、大規模な開発が進んでいます。
これらは、
・すぐに家賃が跳ねる
・すぐに利回りが改善する
という話ではありませんが、
人の流れと企業配置には、中長期的に影響を与えていくと見ています。
⑥ 利回りは下がっているが、家賃は下がっていない
興味深いのは、
・利回りは下がっている
・しかし、家賃は下がっていない
という点です。
大阪市内の、
・駅近
・生活利便性が高い
・都心立地
といった条件を満たす物件では、築年数が進んでも家賃が上昇しているケースも珍しくありません。
⑦ 入居者ニーズは、確実に変わっている
大阪市内の賃貸では、
・自転車置き場
・インターネット環境(Wi-Fi)
は、もはや「あれば加点」ではなく、ないと選ばれない要素になりつつあります。
大規模な設備投資でなくても、
・小さな改善
・設備の見直し
で競争力が変わる場面もあります。
⑧ 都心部は学生需要より「法人需要」が強い
大阪大学・大阪公立大学・関西大学・近畿大学などの大阪の主要大学は、いずれも環状線の外側に位置しています。
そのため、環状線内側では、
・学生需要は限定的
・代わりに法人需要が強い
という特徴があります。
結果として、
・社宅
・単身赴任
・法人契約
といった需要が安定しやすく、賃貸経営としては読みやすいエリアになっています。
⑨ 建築コスト高騰が示す「これからの価格」
もう一つ、見落とされがちですが重要なのが、建築コストの上昇です。
現在、
・資材価格の高騰
・人件費の上昇
が続いており、これらはすべて原価として物件価格に転嫁されます。
今、企画・着工されているマンションが完成するのは、2〜3年後です。
つまり、
これから市場に出てくる新築物件は、現在よりも「割高」になることは、ほぼ見えています。
この構造を考えると、
・短期的な上下動はあっても、
・少なくとも今後2、3年に関して、価格が大きく下がる材料は乏しい
という見方も、十分に成り立ちます。
おわりに
大阪市の不動産市況は、
・成長一辺倒でもなく
・崩壊局面でもない
非常にいびつで、読みづらい市場です。
ただ一つ言えるのは、
「大阪府全体」で語ると、判断を誤る
ということです。
エリアを絞り、需要の中身を見て、コスト構造まで含めて考える。
大阪市内の不動産は、今もなお、冷静な観察力が問われる市場だと、私は感じています。
















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