量子コンピューターとは何か?シュレディンガーの猫から理解する「次元の違う計算機」の正体

「箱の中の猫は、生きているのか、死んでいるのか。」
物理学者シュレディンガーが考えた有名すぎる思考実験
「シュレディンガーの猫」
です。
箱の中に猫がいて、毒ガスが噴出される仕掛けがあります。
箱の中の猫はどうなるのでしょう。
通常の世界では、生きている確率が2分の1、死んでいる確率が2分の1と考え、箱を開けるまで真実は分かりません。
ところが、量子の世界では、このようには考えません。
量子の世界では、猫は「生きている状態」と「死んでいる状態」が重ね合わせとして同時に存在していると捉えるのです。
この奇妙な「重ね合わせ」という性質こそ、量子の世界がいかに不思議かを象徴しており、
そして、量子コンピューターの核心そのものでもあります。
従来のコンピューターは「0」か「1」の世界
私たちが普段使っているコンピューターは、すべて「0」と「1」の組み合わせで動いています。
スマホ、SNS、AIの計算も、細かくしていくと、根っこは「0」か「1」かを高速に判断するだけの仕組みです。
この「0」か「1」か、だけで処理する単位を「ビット」と言います。
しかし、これには限界があります。
複雑な計算、例えば、
・難しい暗号を解く
・巨大な組み合わせ問題を解く
といった処理では、ビットが爆発的に増え、計算時間はむちゃくちゃ長くなります。
量子コンピューターの量子ビットは同時に複数の状態となる
そこで登場するのが、量子力学の性質を使った「量子ビット」です。
量子ビットは、
・「0」でもあり「1」でもある
・「0」と「1」が重なった状態にもなれる
という、古典力学的にはあり得ない状態をとることができます。
まさに「生きている猫」と「死んでいる猫」が同時に存在する、あのシュレディンガーの猫の世界です。
この「重ね合わせ」によって、量子ビットは、わずか数個で、従来のコンピューターでは想像できない規模の情報を同時に扱うことができるようになりました。
なぜ量子コンピューターは高速なのか?
量子コンピューターの強さは、単純に「速い」わけではありません。
その本質は「計算を並列に処理できる」と言う点にあります。
従来のコンピューターなら、
・あるパターンを試し
・次のパターンを試し
・さらに次を試し…
という「ひとつずつの探索」をするしかありませんでした。
しかし、量子コンピューターは、
「重ね合わせ状態を使い、膨大なパターンを同時に探索できる」
という、異次元の計算方法を取ります。
もはや人間の考え方をはるかに凌駕しています。
ただ、もちろん、まだ万能とはいえません。
すべての問題が量子コンピューターで早くなるわけではなく「特定の種類の計算」に圧倒的な強みがあるのが現状です。
具体的な例としては…
・極めて複雑な組み合わせ最適化問題
・暗号の解読
・分子のシミュレーション
・材料開発や薬品設計
・交通・物流の最適ルート探索
など、人間社会の「本当に難しい問題」に直結する領域に適用されます。
量子コンピューターは「次世代の計算機」ではなく「もはや別物」
量子コンピューターは、現在のパソコンがそのまま置き換わっていくのではありません。
むしろ、用途によって使い分ける「ハイブリッド型の未来」が訪れると言われています。
・普段のアプリや家電:従来のコンピューター
・超複雑な計算が必要な領域:量子コンピューター
という住み分けです。
つまり、量子コンピューターは「より速いパソコン」でも「より速いスマホ」でもなく、
「原理から異なる、全く新しい計算の道具」
として捉えるほうが正しいのです。
















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