ITコンサルタントの私がマイナ保険証を使わない理由…制度の成熟度と情報リスク

あなたは、マイナンバーカードやマイナ保険証、活用していますか?
・活用できている
・作成したけど活用していない
・作成すらしていない
さまざまなケースがあるでしょう。
私は、業務改革・ITコンサルタントとして、企業のDX推進・デジタル化を25年超、支援してきました。
このため、立場としては、IT推進派であり、データ活用・オンライン化・運用効率化の価値は嫌というほど理解しているつもりです。
ただ、その前提で、私は、マイナンバーカードやマイナ保険証を利用しておりません。
理由は「デジタルに反対だから」ではなく、
社会インフラとして求められる成熟度・可用性・責任範囲・投資対効果の基準に達していない
と判断しているためです。
マイナンバーカード/マイナ保険証を使わない理由
本記事では、以下に7点ほど、私がマイナンバーカード/マイナ保険証を使わない理由について書いてみたいと思います。
①マイナンバーは基盤コードであり、カードは単なるUI/UXに過ぎない点
まず、前提として確認しておきたい点は、
「マイナンバー自体は、国民には、すでに付与されており、行政のバックエンド処理はその番号で動いている」
という事実です。
つまり、マイナンバーカードは「番号提示のフロントエンド」に過ぎません。
UI(利用者接点)がカードである必然性は弱く、義務化すべき性質のものではないと考えています。
②代替手段(健康保険の資格確認書)が便利で実務上の制約がない点
健康保険については、制度設計上、2025年時点において、資格確認書が代替手段として提供されています。
これが実質的には、従来の健康保険証の代わりであり、何の変化もありません。
ユーザーが不利益を受けないため、強制力のあるインセンティブも存在しません。
むしろ、認知症の高齢者や、身体障害者など、変化による抵抗のほうが混乱リスクが大きいのかもしれません。
マイナンバーは全員に付与済みであり、カードを持たないことで行政サービスに遅れることはありません。
③任意の制度で事故時の責任分界点があいまいな点
ITコンサル視点においては、最も気になる点になります。
システムや仕組みを構築する際、運用設計の一環として、RACI表などを使って役割と責任を明確化します。
責任分界点をはっきりとさせておかないと、何かあったときに責任逃がれをしたり、原因分析が十分にできなくなるためです。
この点について、マイナ保険証は、コード紐付けのミス、情報漏洩、資格情報の不整合などの事故が発生した際、行政・医療機関・システム事業者の責任の境界は不透明なまま運用されています。
強制運用であれば責任は行政にあるのでしょうが、2025年時点においては任意運用のため、責任の所在が分からなくなっているのです。
私に言わせれば、非常に無責任な仕組みであり、ましてや、医療情報というリスクの高い領域において、この状態は健全とは言えないでしょう。
④仕様凍結と安定稼働の域に達していない点
ここ数年の運用を見る限り、
・紐付けミスの継続的発生(自治体の担当者の苦労が浮かびます)
・顔認証制度のゆらぎ
・医療機関の導入レベル・考え方の差
・制度/仕様の頻繁な変更(発行タイミングによって画一的な運用になっていない)
など、基盤システムに求められる可用性・一貫性・運用標準化が十分とは言えない状況にあると考えています。
公共インフラは「変わらないこと」自体が品質です。
私は、成熟度に関して、まだ過渡期にあると判断しています。
⑤カード更新・電子証明書更新という運用負荷がユーザー側負担になっている点
デジタル化の本質は「運用負荷の軽減」ですが、
マイナンバーカードの設計は逆にユーザの負荷を増やしています。
・カードの10年更新
・電子証明書はさらに短いアップデート
・期限切れによる急な利用不能リスク
これは、従来の保険証では生じなかった手間であり、運用コストでもあります。
⑥情報の集中設計によるリスクが大きい点
ITを構築する際、その仕組みの構造(アーキテクチャー)の基本として、
「単一障害点の解消」
という原則があります。
マイナ保険証は、
・本人確認
・資格確認
・医療履歴へのアクセス基盤
などがすべて1枚に集約されているため、
単一障害点を強化する構造になっています。
その点において、利便性は高まってますが、リスクが集中していることは明確です。
⑦マイナポイントに依存したマーケティング手法に対する疑問
マイナンバーカードは普及当初、多くの人がマイナポイントというインセンティブ(ニンジン)によってカードを作成しました。
私は、この誘導設計・マーケティング手法にも、違和感がありました。
「本当に価値のあるサービスは、インセンティブを配らなくても自然に普及する」
ETCや交通系ICのように、ユーザーの使い勝手、安定性が揃っていけば、自ずと普及していきます。
逆に言えば、マイナポイントというインセンティブが必要だった時点で、
「制度そのものの成熟度が疑わしかった」
裏付けなのだと思ってます。
結論:IT推進派だからこそ「成熟した段階で採用する」
私はIT化・デジタル化に反対しているわけではありません。
むしろ、制度と技術が十分に整えば、積極的に利用したい派です。
その上で、現時点において、
・制度の成熟度
・運用安定性
・責任範囲
・集中リスク
・代替手段の機能性
を総合的に評価し、あえて「使わない」という選択をしています。
IT推進派だからこそ、カットオーバー前の移行・ユーザー教育・評価には十分な時間を割くべきだと考えているのです。
ましてや、公共インフラの移行では、本来「テスト→段階移行→周知→堅牢化」というステップが不可欠です。
ただ、マイナ保険証に関しては、この段階的な設計が不十分なまま進められた印象があります。
「安心して任せられる時期なのかどうかを冷静・客観的に見極める」
賛否両論あるので、正解こそありませんが、私は上記の姿勢を貫こうと思ってます。
デジタル化には賛成ですが、盲目的な賛成はしたくはありません。
成熟した段階で使う。
それがITに携わる者としての健全な姿勢だと考えています。
※一体いつになったら任意運用ではなく強制運用になるんですかね…。
















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