コンサルティングでよく使う概念「相関関係と因果関係」とは?

私の本業はコンサルティング業です。
最近は、人気職種となってきたコンサルティングですが、私がコンサルタントになった25年近く前はそうでもありませんでした。
さまざまな実務経験を積んでいくうちに、
「これ、また同じパターンだな…」
といった状況に遭遇することがよくあります。
そのパターンのひとつとして
「相関関係と因果関係」というテーマがあります。
今回は、この点について、軽く触れてみたいと思います。
相関関係について
コンサルタントにとって、基本的な統計データ分析は、一種のツールになっています。
経営にしてもITにしても、物事を数字で判断して意思決定するケースは多いです。
まず、相関関係から見ていきましょう。
相関関係とは
「Aの値の大きさと、Bの値の大きさに関連性がある」
関係のことを言います。
もう少し踏み込むと、
「Aの値が大きくなると、Bの値も大きくなる時は、正の相関関係がある」
と呼び、逆に、
「Aの値が大きくなると、Bの値が小さくなる時は、負の相関関係がある」
と呼んでいます。
ひとつ例を挙げます。
Aをスポーツテストの結果、Bを勉強の成績だと仮定します。
まず、スポーツテストの結果を横軸、勉強の成績を縦軸にして、単純にグラフを書いてみます。
その結果、スポーツテストの結果のいい生徒は、勉強の成績もよかったということが分かったとしましょう。
この場合、AとB、つまり
”スポーツテストの結果と勉強の成績には(正の)相関関係がある”
と言います。
難しい数式は省きますが、相関関係の強さを表す定量的な指標として、相関係数というものが使われます。
相関係数は-1から1までの値をとり、
・-1に近いと負の相関がある
・0に近いと相関がない
・1に近いと正の相関がある
となっています。
相関関係は、単純に2種類のデータから、それぞれに関係があるかないかを調べているのです。
ここまではまだ分かりますよね。(エクセルでも一発でできます。)
因果関係について
次に、因果関係について見ていきましょう。
因果関係とは
「Aが原因となって、Bの結果となった」
関係のことを言います。
日本語的には「原因」と「結果」につながりがある関係のことを指しています。
先ほどの例で見ていきましょう。
Aをスポーツテストの結果、Bを勉強の成績だと仮定したとき、AとBには正の相関関係がありました。
しかし、
”スポーツテストの結果がいいから、勉強ができるようになったんだ”
と言いきることができるでしょうか?
・勉強時間
・親の所得
・塾に通っているかどうか
など、勉強ができるようになった理由は、他にもあるかもしれません。
つまり、スポーツテストの結果をよくすることが、勉強の成績を上げることに直接つながったとは、必ずしも言い切ることはできません。
この場合、スポーツテストの結果と勉強の成績に因果関係があるとは言えないのです。
相関関係と因果関係の違いについて
相関関係があっても、因果関係があるとは限らないという例を紹介しました。
実は、相関関係の有無はすぐに証明できても、因果関係の証明はとんでもなく難しいんです。
例えば、ビールとおつまみの売上には、何らかの相関関係はあるでしょう。
しかし、因果関係となると、どうでしょう。
ビールとおつまみは一緒に食べる人が多いので、影響はありそうに見えます。
しかし、おつまみではなく、ビールの売上は、実は、暑さ(気温)との影響のほうが大きいのかもしれません。
とりあえず、
”因果関係を完全に証明することはとても難しい”
と認識しておけばいいと思います。
コロナ禍の最初の頃、某大阪府知事が、うがい薬を提案したときの話を覚えていますか?
”一部の軽症者が、うがい薬を使ったら、使わなかった人よりも、検査陰性の人が多かった”
これは相関関係です。(実際、グラフも提示して説明されていました。)
しかし、そのことを拡大解釈して、
”うがい薬を使えば、コロナを防ぐことができる”
と各種メディアは報道していました。
ただ、とても因果関係があるとは思えず、拡大解釈しすぎですよね。
相関関係と因果関係の違いを意識しながらニュースを聞く。
そうすると、より物事の本質に近づくことができるのかもしれませんね。
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