NISAとiDeCoの違いとは?税金・商品・年齢・引き出し制限をわかりやすく比較

NISAとiDeCo。
どちらも資産形成のための制度であり、税制上の優遇があります。
投資信託などを使って長期的に資産を形成するという点も似ています。
そのため、
「NISAとiDeCoは何が違うのか」
「結局、どちらを使えばいいのか」
「買える商品は同じなのか」
と、違いがよく分からない人も多いのではないでしょうか。
しかし、この二つは似ているようで、制度の目的も税制優遇の仕組みもかなり違います。
今回は、NISAとiDeCoの違いをできるだけシンプルに整理してみます。
- 1. まず一言でいうと何が違うのか
- 2. NISAとiDeCoを一覧表で比較
- 3. そもそもNISAは「金融商品」ではない
- 4. 現在のNISAには二つの投資枠がある
- 5. NISAの税制優遇は「利益が出たとき」に効く
- 6. NISAの大きな特徴は「自由度」
- 7. NISAの商品は基本的に投資商品
- 8. iDeCoとは何か
- 9. iDeCoは「お金を出した段階」から税制優遇がある
- 10. iDeCoは運用益も非課税
- 11. ただしiDeCoには「出口」がある
- 12. iDeCoでは元本確保型商品も選べる
- 13. iDeCo最大のデメリットは60歳まで引き出せないこと
- 14. NISAとiDeCoはどちらを選ぶべきか
- 15. NISAとiDeCoでは「税制優遇のタイミング」も違う
- 16. まとめ
まず一言でいうと何が違うのか
最初に結論を書いてしまいます。
NISAは「自由に使える資産形成のための非課税制度」
iDeCoは「老後資金を作るための私的年金制度」
この違いを理解すると、かなり整理しやすくなります。
NISAで保有する資産は、必要になれば途中で売却して現金化できます。
一方、iDeCoは老後資金を作ることが目的なので、原則として60歳まで資産を引き出すことができません。
この「自由に使えるかどうか」が、両者の大きな違いです。
NISAとiDeCoを一覧表で比較
| 項目 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 制度の性格 | 少額投資非課税制度 | 私的年金制度 |
| 主な目的 | 幅広い資産形成 | 老後資金形成 |
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 掛金・投資額の所得控除 | なし | あり |
| 引き出し | 原則自由 | 原則60歳まで不可 |
| 主な商品 | 投資信託、株式、ETF、REITなど | 投資信託、定期預金、保険商品など |
| 元本確保型商品 | 基本的になし | あり |
| 年齢 | 現行制度は18歳以上 | 原則20歳以上65歳未満※ |
| 運用できる金額 | 年間最大360万円 | 加入区分等によって異なる |
| 受取時の課税 | 基本的に非課税 | 原則課税だが各種控除あり |
| 途中売却・換金 | 可能 | 原則不可 |
※iDeCoは公的年金の加入状況などによって加入条件が異なります。
こうして並べてみると、似ているようでかなり違う制度であることが分かります。
そもそもNISAは「金融商品」ではない
最初に理解しておきたいのが、NISAそのものは金融商品ではないということです。
「NISAを買う」という言い方をすることがありますが、正確には、NISAという税制優遇制度を利用して、投資信託や株式などを購入します。
つまり、
NISA=商品
ではなく、
NISA=投資によって得た利益を非課税にするための制度・口座
と考えると分かりやすいでしょう。
通常、株式や投資信託を売却して利益が出たり、配当や分配金を受け取ったりすると、約20%の税金がかかります。
NISA口座で対象商品を運用した場合、この運用益が非課税になります。
現在のNISAには二つの投資枠がある
現在のNISAには、
・つみたて投資枠
・成長投資枠
があります。
年間投資枠は、
つみたて投資枠:120万円
成長投資枠:240万円
で、両方を利用すれば年間360万円まで投資できます。
非課税保有限度額は合計1800万円で、そのうち成長投資枠で利用できるのは1200万円までです。
また、現在のNISAでは非課税保有期間が無期限となっています。
NISAの税制優遇は「利益が出たとき」に効く
NISAを理解するうえで重要なのが、税制優遇がどこで発生するのかという点です。
NISAに100万円投資したからといって、その100万円が所得から控除されるわけではありません。
税制上のメリットが出てくるのは、基本的に運用によって利益が生じた場合です。
例えば100万円で購入した商品が120万円になり、20万円の利益が出たとします。
通常であれば、その利益には約20%の税金がかかります。
NISAなら、その利益が非課税になります。
一方、100万円で購入した商品が80万円になれば、20万円の損失です。
この場合、NISAだから損失を補填してもらえるわけではありません。
しかも、NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益と損益通算することができません。
つまりNISAは、
「投資による利益が出たとき、その利益にかかる税金をなくしてくれる制度」
と考えると分かりやすいでしょう。
NISAを利用したから利益が出るわけでも、元本が保証されるわけでもありません。
NISAの大きな特徴は「自由度」
NISAのもう一つの特徴が自由度です。
例えばNISAで500万円の資産を保有していたとしても、
・住宅購入資金が必要になった
・子どもの教育費が必要になった
・車を買い替えることになった
・仕事を辞めて生活資金が必要になった
といった場合には、保有商品を売却して現金化できます。
つまりNISAは、
「老後のためだけのお金」ではありません。
老後資金にも使えますし、教育資金にも住宅資金にも使えます。
ここがiDeCoとの大きな違いです。
NISAの商品は基本的に投資商品
NISAで購入できるのは、基本的には投資信託や株式などの投資商品です。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などが対象になります。
成長投資枠では、一定の条件を満たした上場株式、ETF、REIT、投資信託などにも投資できます。
ここで重要なのは、
NISAは税制上優遇されているからといって、元本が保証されているわけではない
ということです。
100万円の投資信託を購入しても、その商品が値下がりすれば90万円や80万円になることはあります。
「NISAだから安全」
なのではありません。
あくまで投資によって利益が出た場合に、その利益を非課税にする制度です。
iDeCoとは何か
iDeCoは「個人型確定拠出年金」です。
名前に「年金」と入っているところが重要です。
NISAが投資に対する非課税制度なのに対して、iDeCoは老後資金を自分で準備するための私的年金制度です。
自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選択します。
そして、その資産を原則60歳以降に受け取ります。
したがって、
iDeCo=老後資金専用の仕組み
くらいに考えると分かりやすいでしょう。
iDeCoは「お金を出した段階」から税制優遇がある
NISAとiDeCoの違いとして、ぜひ知っておきたいのがここです。
NISAでは、投資した金額そのものは所得控除になりません。
税制上のメリットが生じるのは、基本的に利益が出た場合です。
一方、iDeCoでは、
拠出した掛金の全額が所得控除になります。
例えば毎月2万円、年間24万円をiDeCoに拠出したとします。
この24万円は「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されます。
したがって、所得税や住民税を負担している人であれば、掛金を拠出すること自体が税負担の軽減につながります。
ここはNISAとの大きな違いです。
かなり単純化して表現すれば、
NISAは「運用して利益が出たとき」に効く税制優遇。
iDeCoは「掛金を拠出したとき」から効く税制優遇。
と考えると、両者の違いが分かりやすくなります。
もちろん、iDeCoで投資信託などを選択すれば、その後の運用では値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。
掛金が所得控除になることと、運用で利益が出ることは別の話です。
iDeCoは運用益も非課税
iDeCoの税制優遇は、掛金の所得控除だけではありません。
通常、金融商品を運用して利益が生じれば税金がかかりますが、iDeCoで運用している間の運用益は非課税です。
つまりiDeCoには、
拠出時
→掛金が全額所得控除
運用中
→運用益が非課税
という税制上のメリットがあります。
この点だけを見ると、iDeCoの税制優遇はかなり大きいことが分かります。
ただしiDeCoには「出口」がある
一方で、iDeCoは受け取るときの税金も考える必要があります。
一時金として受け取れば「退職所得」として扱われ、退職所得控除を利用できます。
年金として受け取れば「雑所得」となり、公的年金等控除を利用できます。
そのため、
iDeCoは単純に「最初から最後まですべて非課税になる制度」というわけではありません。
拠出時、運用時、受取時まで含めて税制を考える必要があります。
iDeCoでは元本確保型商品も選べる
商品についても、NISAとiDeCoには違いがあります。
iDeCoでは、利用する運営管理機関が提示する商品の中から、自分で運用商品を選択します。
代表的なのは投資信託ですが、それだけではありません。
運営管理機関によっては、
・定期預金
・保険商品
などの元本確保型商品も用意されています。
ここはNISAとの分かりやすい違いです。
「iDeCoを利用する=必ず株式などのリスク資産に投資しなければならない」
というわけではありません。
ただし、元本確保型商品であっても、iDeCoでは各種手数料が発生します。
そのため、元本が確保されていることと、資産全体が必ず増えることは別の話です。
iDeCo最大のデメリットは60歳まで引き出せないこと
税制だけを見ると、iDeCoは非常に有利な制度です。
しかし、大きな制約があります。
原則として60歳まで引き出せません。
例えば40歳でiDeCoに300万円あったとして、
「住宅購入の頭金に使いたい」
と思っても引き出すことはできません。
「子どもの大学進学費用が足りない」
という場合でも、原則として使えません。
この制約はかなり大きなものです。
逆に考えれば、
「老後まで強制的に残しておける」
というメリットにもなります。
老後資金として考えれば強みですが、生活資金として考えれば弱みになります。
NISAとiDeCoはどちらを選ぶべきか
これは「どちらが優れているか」という問題ではありません。
そもそも目的が違います。
老後まで使わないお金であり、所得控除のメリットを受けたいのであれば、iDeCoは有力な選択肢になります。
一方「老後資金にも使いたいけれど、途中で必要になるかもしれない」というお金なら、NISAのほうが使いやすいでしょう。
資金に余裕があり、加入条件などを満たしていれば、NISAとiDeCoを併用することもできます。
したがって、
「NISAかiDeCoか」
と考えるより、
「何のためのお金なのか、いつ使うお金なのか」
から考えるほうが分かりやすいと思います。
NISAとiDeCoでは「税制優遇のタイミング」も違う
最後に、もう一度税制面から整理してみます。
NISAは、投資しただけでは所得控除を受けられません。
投資によって利益が生じたときに、その利益を非課税にする制度です。
損失が出れば、その損失はそのままです。
一方、iDeCoは、掛金を拠出した段階で、その全額が所得控除になります。
その後の運用結果がどうなるかとは別に、掛金に対する所得控除という仕組みがあります。
したがって、
NISA=運用益に対する税制優遇
iDeCo=掛金の所得控除+運用益に対する税制優遇
という違いがあります。
ただしiDeCoは、原則60歳まで引き出せず、受取時の税制も考える必要があります。
税制優遇が大きい代わりに、お金の自由度が低い。
一方のNISAは、所得控除はないものの、お金の自由度が高い。
この違いを理解すると、NISAとiDeCoの性格がかなり見えやすくなります。
まとめ
NISAとiDeCoには共通点があります。
どちらも国が個人の資産形成を後押しするために、税制上の優遇を設けている制度です。
しかし、その性格はかなり違います。
簡単に整理すると、
NISA:自由度の高い資産形成のための非課税制度
iDeCo:税制優遇を受けながら老後資金を準備する私的年金制度
です。
NISAでは、投資によって利益が出れば、その利益が非課税になります。
一方、損失が出ても補填されるわけではなく、課税口座との損益通算もできません。
iDeCoでは、掛金を拠出した段階で全額所得控除を受けることができ、さらに運用益も非課税です。
その代わり、原則60歳まで引き出すことができません。
つまり、
NISAは自由度が高い代わりに、税制優遇は主に運用益に対して働く。
iDeCoは自由度が低い代わりに、拠出段階から税制優遇が働く。
そして商品についても、NISAでは基本的に投資商品を利用するのに対して、iDeCoでは元本確保型商品を選択できる場合があります。
細かな制度や数字を覚える前に、
何のためのお金なのか。
いつ使うお金なのか。
どの段階で税制上のメリットを受けられるのか。
この3つから考えてみると、NISAとiDeCoの違いはかなり分かりやすくなると思います。



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