完全FIREしなくてもいい…仕事・不動産・資産を組み合わせた私のセミリタイア

- 1. はじめに
- 2. FIREでは「仕事をしないためのお金」が必要になる
- 3. 少し働くだけで、必要な資産は大きく変わる
- 4. 私の場合、週3日ワークができたのは「コンサル」という仕事だったから
- 5. 私は仕事をゼロにしたかったわけではありません
- 6. 転職が多かったことも、あとになって役に立ちました
- 7. 会社員時代に作っていた、もう一つの柱
- 8. 計画は止まっても、それまで積み上げたものは残った
- 9. 0か100かで考えなくてもいい
- 10. 大切だったのは、一つのものに全部を背負わせないこと
- 11. 「たくさん稼ぐ」より「必要な仕事量を減らす」
- 12. セミリタイアは、FIREの失敗版ではない
- 13. 必要なのは「FIREできる金額」ではなく、自分なりの構造
- 14. おわりに
はじめに
前回の記事では、
「FIREを目指さなかった私が、セミリタイアまで10年かけて準備したこと」
について書きました。
私は最初からFIREを目指していたわけではありません。
会社員として働き、病気を経験し、独立し、少しずつ仕事の量や生活の形を変えてきました。
その結果として、現在は週3日程度のコンサルティングを中心とした生活になっています。
では、セミリタイアするためには、いったいいくら必要なのでしょうか。
3000万円でしょうか。5000万円でしょうか。それとも、1億円でしょうか。
私は、この問いには一つの答えがないと思っています。
なぜなら、完全に仕事をやめるFIREと、少し働きながら暮らすセミリタイアでは、必要になるお金の考え方がかなり違うからです。
FIREでは「仕事をしないためのお金」が必要になる
一般的なFIREでは、ある程度まとまった金融資産を作り、その資産から得られる運用益などで生活費をまかなうことを目指します。
もちろん、これはとても分かりやすい考え方です。
年間の生活費が決まれば、それを資産収入でまかなうために必要な資産額もある程度計算できます。
ただし、当然ながら必要になる資産額は大きくなります。
生活費のすべてを資産から出そうとするからです。
一方、セミリタイアでは少し事情が違います。
仕事をゼロにする必要がありません。
私自身も、仕事を完全にやめることは考えていませんでした。
少し働くだけで、必要な資産は大きく変わる
例えば、生活するために毎月30万円必要だとします。
完全FIREなら、この30万円を基本的には資産収入などからまかなわなければなりません。
しかし、週に何日か働いて月10万円の収入があるなら、資産などで準備する必要があるのは残り20万円です。
月20万円働けるのであれば、残りは10万円になります。
これは単純な例ですが、私がセミリタイアを考えるうえでは、とても重要な違いだと思っています。
「一生働かなくても大丈夫な資産を作る」
と考えると、ゴールはかなり遠く見えます。
しかし、
「生活費の一部だけを仕事以外からまかなえる状態を作る」
と考えると、必要な準備はかなり変わってきます。
私の場合、週3日ワークができたのは「コンサル」という仕事だったから
ただし、ここは少し注意が必要です。
私は現在、週3日程度の仕事を中心に生活していますが、これは誰でも同じようにできるとは思っていません。
私の場合は、長年コンサルティングの仕事をしてきました。
コンサルティングという仕事は、会社員を辞めてフリーランスになっても、それまでの経験を比較的そのまま使うことができます。
また案件によっては、週5日ではなく、週4日、週3日といった形で稼働を調整することもできます。
私がセミリタイアに近い働き方をできるようになったのは、努力だけではなく、長年続けてきた仕事の性質にも助けられています。
逆に言えば、セミリタイアを考えるとき、
「いくら貯めれば仕事を辞められるのか」
だけではなく、
「今の仕事を、小さくして残すことはできないか」
と考えてみるのも一つの方法だと思います。
私は仕事をゼロにしたかったわけではありません
そもそも私は、仕事そのものが嫌いだったわけではありません。
誰かから相談されて、一緒に問題を整理したり、将来の計画を考えたりすることも自分には合っていると思っています。
苦しかったのは、仕事そのものというよりも、
「仕事が生活のほとんどを占めてしまうこと」
だったように思います。
週5日働き、忙しい時期にはそれ以上働く。
仕事の予定を中心に、残った時間へ生活を押し込んでいく。
それを長く続けることが、私には難しくなりました。
だから私が減らしたかったのは、「仕事」ではなく「仕事への依存度」だったのかもしれません。
転職が多かったことも、あとになって役に立ちました
私は会社員時代、一つの会社だけでずっとキャリアを積み上げてきたわけではありません。
転職も何度か経験しています。
当時は、転職するたびに新しい会社、新しい仕事、新しい人間関係に慣れなければならず、楽なことばかりではありませんでした。
ところが独立してみると、それが意外なところで役に立ちました。
いくつもの会社で働いたことで、知っている人がいろいろな会社にいます。
さらに時間が経つと、昔一緒に仕事をしていた人が別の会社へ転職していることもあります。
そうやって少しずつ、人脈や仕事につながるパイプが広がっていきました。
フリーランスになれば、会社が仕事を用意してくれるわけではありません。
それでも仕事を続けることができた背景には、会社員時代の20年以上で作られた人とのつながりもあります。
もちろん会社員だった当時、それを「将来のセミリタイアの準備」と考えていたわけではありません。
転職という、その時々ではバラバラに見えていた経験が、あとになって一つの資産になりました。
人生は、何があとで役に立つか分からないものです。
会社員時代に作っていた、もう一つの柱
もう一つ、今の生活につながっているものがあります。
不動産です。
会社員時代、私は区分マンションを少しずつ購入していました。
当時は長いデフレの時代で、今と比べれば不動産価格も低く、金利も低い状態が続いていました。
私はその環境を利用して、会社員としての個人の与信枠をかなり使いながら融資を受け、最終的には区分マンションを8戸まで増やしました。
本当は10戸まで増やして、事業的規模にしたいと考えていました。
今振り返ると、かなり積極的に融資を使っていたと思います。
ところが、その計画は途中で止まりました。
10戸保有する前に、私は適応障害となり、その後うつ病なども経験し、以前のように働けなくなったからです。
当然、不動産を増やすどころではありませんでした。
「ここからさらに増やしていく」
と考えていたものが、8戸で止まりました。
だから、不動産についても決して最初から計画通りに進んだわけではありません。
むしろ途中で大きく計画が狂った、というほうが正確です。
計画は止まっても、それまで積み上げたものは残った
当時は、10戸まで増やせなかったことを「計画が途中で止まった」と考えていました。
しかし今振り返ると、少し見方が変わります。
8戸まで購入した不動産が突然なくなったわけではありません。
転職を繰り返してできた人とのつながりも残っています。
長年コンサルティングをして身につけた経験も残っています。
病気になったことで、それまで描いていた人生設計は大きく変わりました。
しかし、それまで20年以上かけて積み上げてきたものが、すべてゼロになったわけではありませんでした。
むしろ、その残ったものを組み合わせ直すことで、現在の働き方ができているように思います。
これは、最初から計画していたことではありません。
0か100かで考えなくてもいい
会社員時代の私は、働くことをかなり0か100かで考えていたように思います。
会社員としてしっかり働く。
あるいは、仕事を辞める。
しかし実際には、その間にたくさんの選択肢があります。
週4日働く。週3日働く。
繁忙期だけ少し多く働く。
得意な仕事だけを続ける。
仕事以外の収入を少しずつ作る。
生活費そのものを小さくする。
私の場合なら、コンサルティングという比較的稼働を調整しやすい仕事があり、転職や長年の仕事でできた人とのつながりがあり、会社員時代に少しずつ増やした不動産があります。
一つひとつだけを見れば、完全FIREできるほどの強力なものではありません。
でも、いくつかを組み合わせると話が変わってきます。
大切だったのは、一つのものに全部を背負わせないこと
私は、一つの収入だけで生活を完成させようとは考えていません。
コンサルティングだけに頼れば、働けなくなったときに困ります。
不動産だけで生活しようとすれば、もっと多くの物件や資金が必要になります。
金融資産だけで完全FIREしようとすれば、かなり大きな資産額が必要になります。
だったら、それぞれに少しずつ働いてもらえばいい。
コンサルティング。不動産。金融資産。法人。
そして、将来何かにつながるかもしれない新しい取り組み。
一つひとつは完璧でなくても、複数あれば、一つに人生を預けなくてもよくなります。
これは収入を増やすというよりも、私にとっては「一つのものへの依存を減らす」という感覚に近いものです。
「たくさん稼ぐ」より「必要な仕事量を減らす」
FIREについて考えると、どうしても資産額に目が向きます。
「あと何千万円あれば会社を辞められる」
という考え方です。
もちろん、それも一つの方法だと思います。
ただ、私は別の方向から考えてきました。
資産を増やすだけではなく、
「生活するために必要な労働量を減らせないか」
と考えるのです。
生活費を見直す。仕事以外の収入を作る。得意な仕事の単価を上げる。
同じ収入を得るために必要な労働時間を減らす。
私の場合、週3日という働き方が成立しているのも、単純に仕事量を5分の3にしたからではありません。
長年続けてきた仕事の経験があり、その経験を必要としてくれる人とのつながりがあり、会社員時代に作った資産もある。
それらが組み合わさった結果です。
つまり「どれだけ稼ぐか」と同じくらい、
「その収入を得るために、自分の時間をどれだけ使うのか」
も重要なのだと思っています。
セミリタイアは、FIREの失敗版ではない
ときどき、セミリタイアは、
「完全FIREできるほど資産がない人が、仕方なく働いている状態」
のように捉えられることがあります。
私はそうは思っていません。
仕事を少し残すことで収入があります。
社会との接点もあります。
長年積み上げてきた経験を使う場所も残ります。
そして、資産だけですべての生活費を支える必要もありません。
私にとって週3日という働き方は、FIREまでの途中経過ではありません。
今の自分にとって、それなりに居心地のいい働き方です。
完全に仕事をやめることよりも、
「働く日数を自分で決められる」
ことのほうが、私には重要なのかもしれません。
必要なのは「FIREできる金額」ではなく、自分なりの構造
結局、
「いくらあればセミリタイアできますか?」
という質問には、私は答えられません。
生活費も違います。家族構成も違います。職業も違います。これまで積み上げてきた経験も違います。資産も違います。
そして「どのくらい働きたいのか」も人によって違います。
私の場合は、コンサルティング、不動産、人とのつながり、金融資産など、会社員時代から積み上げてきたものが少しずつつながって、現在の形になりました。
どれか一つを取り出して、
「これがセミリタイアの方法です」
と言うことはできません。
むしろ大切なのは、
「自分には、すでに何があるのか」
を一度棚卸ししてみることなのかもしれません。
おわりに
私はFIREできる資産を作ってから、仕事を減らしたわけではありません。
10年前から、現在の姿を正確に設計していたわけでもありません。
会社員として働いた。何度か転職した。コンサルティングという仕事を長く続けた。
デフレと低金利の時代に、個人の与信を使って区分マンションを増やした。
不動産投資の規模を増やしていた途中で、病気になった。
計画はいったん止まりました。
その後、独立して、法人を作った。
そして、それまで残っていた経験や人とのつながり、資産を組み合わせながら、少しずつ仕事の日数を減らしていった。
こうして並べてみると、とても最初から計画されたセミリタイアには見えません。
実際、その通りです。
その時々では別々だったものが、10年以上たって振り返ってみると、少しずつつながっています。
だから私は、セミリタイアとは大きな資産を作って、ある日突然会社を辞めることだけではないと思っています。
少し働く。少し資産に働いてもらう。いくつかの収入源を持つ。過去に積み上げてきたものを使う。そして、自分の時間を少しずつ取り戻していく。
私自身、まだその途中にいます。
これから仕事をさらに減らすかもしれません。
逆に、面白い仕事があれば一時的に増やすこともあるでしょう。
私にとって大切なのは「働かないこと」ではありません。
働く量を、自分で決められること。
それが、私がセミリタイアという働き方に感じている、一番大きな自由なのだと思います。



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