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先生の脱線話は、本当に無駄だったのだろうか?

生き方・働き方

はじめに

最近は何でも速くなりました。

YouTubeは倍速再生。

ショート動画は数十秒。

SNSは数行。

AIに聞けば要約までしてくれます。

私自身も、世の中、便利になったと思います。

仕事ではAIを活用していますし、調べ物も昔より圧倒的に速くなりました。

限られた時間の中で効率化を図ること自体は、とても良いことだと思っています。

しかし最近、少し気になることがあります。

それは、

「効率化しすぎると、考える余白まで失われるのではないか」

ということです。

タイパは悪いことではない

まず誤解してほしくないのですが、私はタイパ(タイムパフォーマンス)を否定したいわけではありません

必要な情報を短時間で得る。

移動時間を有効活用する。

AIで作業を効率化する。

こうした工夫は現代社会では重要です。

私自身も積極的に活用しています。

問題は、

「効率化そのものが目的になってしまうこと」

です。

最短距離ばかりを求めるようになると、本来得られるはずだった別の価値を見落としてしまうことがあります。

先生の脱線話

私が小学生の頃、理科の授業で空気の成分を習いました。

空気は、

・窒素が約8割
・酸素が約2割
・残りがアルゴンや二酸化炭素など

という内容です。

正直なところ、当時の私は、

「ふーん」

くらいにしか思っていませんでした。

すると先生が突然こんな話を始めました。

「俺の子どもの頃のあだ名、窒素やってん」

教室が少しざわつきました。

理由を聞くと、

「学校を休んだこともないし毎日おるねんけど、存在感がなさすぎて、いてもいなくても分からんかったらしい」

とのこと。

先生自身も、

「地味なあだ名やったわ」

と笑っていました。

当時は、

「何の話やねん!」

と思っていました。

しかし不思議なことに、私は50歳を過ぎた今でもその話を覚えています。

そして、

窒素は空気の大部分を占めているのに目立たない存在

ということも、一緒に覚えています。

もし先生が教科書だけを読んで授業を終えていたら、私は空気の成分など、とっくに忘れていたかもしれません。

しかし、あの脱線話のおかげで、窒素という言葉だけは今でも頭の中に残っています。

一見すると無駄な情報

社会に出てからも似たような経験があります。

コンサルタントの世界では、会議中に例え話が出てくることがあります。

本題から外れているように見えるのですが、むしろその例え話の方が本質を理解しやすいことも少なくありません。

また、

・テレビで偶然見たCM
・新聞の片隅に載っていた広告
・飲み会で誰かがこぼした愚痴
・雑談の中で耳にした何気ない話

こうした情報が、後になって別の場面でつながることがあります。

その瞬間だけ見れば無駄かもしれません。

効率だけを考えれば削っても困らない情報かもしれません。

しかし、人間の知識や発想は、そうした寄り道の積み重ねから生まれることも多いのです。

ブログや本には寄り道がある

私はブログを長年書いています。

検索で答えだけ知りたいのであれば、今はAIの方が速いかもしれません。

しかし、

・なぜそう考えるのか
・どのような経験をしてきたのか
・どんな失敗をしたのか

そうした背景は、長文の中にしか残りません。

本も同じです。

最近は要約サービスも増えています。

もちろん便利です。

しかし要約で得られるのは「結論」です。

一方で、本そのものには、著者の思考の流れや試行錯誤、寄り道や雑談のような部分が含まれています

実は、その寄り道こそが面白かったりします。

偶然の出会いは効率化できない

AIやSNSは非常に優秀です。

自分が欲しい情報を効率よく届けてくれます。

しかし、それらは基本的に「探している情報」を届ける仕組みです。

一方で、

・先生の脱線話
・本のあとがき
・新聞広告
・テレビCM
・誰かの雑談

こうしたものは、

「探していなかった情報」

との偶然の出会いを生みます。

そして人生を振り返ると、意外と大きな影響を受けたのは、そうした偶然の出会いだったりします。

余白は無駄ではない

私は仕事でも生活でも余白を大切にしています。

仕事を100%埋めない。

予定を100%埋めない。

お金も使い切らない。

それは余白があるからこそ、変化に対応できると思っているからです。

実は情報も同じなのではないでしょうか。

最短距離だけを追い続けると、偶然の発見や新しい視点に出会う機会が減ってしまいます

効率化は大切です。

しかし、効率化だけでは得られない価値もあります。

おわりに

YouTubeの倍速再生も良い。

ショート動画も良い。

SNSもAIも良い。

便利なものは積極的に活用すればいいと思います。

ただ、ときには本を開く。

ブログを読む。

寄り道をしてみる。

そんな時間も残しておいてほしいと思っています。

効率だけでは手に入らないものが、そこにはあるからです。

そして私は、その「無駄に見える余白」の中にこそ、人間らしさや創造性が残っているような気がしています。

AIは空気の成分を教えてくれます。

しかし「俺のあだ名は窒素やってん」という先生の脱線話までは教えてくれないのです。

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Posted by かずきび47