「地上駅」から「高架駅」へ…我孫子町駅で感じた視界の変化と大阪の都市構造

はじめに
大阪の街を歩いていると「昔と景色が変わった」と感じる場所があります。
特に鉄道駅。
子どもの頃は地上を走っていたのに、いつの間にか高架化され、空が見える近代的な駅へ変わっている。
そんな場所が大阪には数多く存在します。
現在53歳の私は、大阪で長年暮らしてきました。
その中でも、最近特に変化を感じたのが、JR阪和線の「我孫子町駅」です。
昔はもっと地上感の強い、生活に密着した駅だった記憶があります。
ところが先日、久しぶりに訪れると、いつの間にか今風の高架駅へと変身していました。
今回は、そんな我孫子町駅と、「高架化によって変わる視界」について整理してみたいと思います。
「あびこ」「あびこ前」「我孫子町」は全部空気が違った
私は独身の頃、南海高野線の「我孫子前(あびこ前)」周辺に住んでいました。
そして仕事の知人は地下鉄御堂筋線の「あびこ駅」周辺に住んでおり、その中間にある「我孫子町」付近でよく打ち合わせをしたりしていました。お互い、パソコンとPHSと有線コネクターを抱えながら…。
ただ、面白いのは、同じ「あびこ系」の地名なのに、3つの駅では、街の空気がかなり違っていたことです。
例えば地下鉄御堂筋線の「あびこ駅」は、
・不動産屋
・学生向けマンション
・チェーン店
・単身者向け飲食店
などが並び、
「人の流動性が高い街」
という印象がありました。
私も我孫子前の賃貸マンションに住んでいましたが、部屋探しをしてくれたのはあびこ駅の賃貸業者でした。
一方、私の住んでいた南海高野線の「あびこ前」は、もっと住宅街寄り。
地域密着型の店が多く、生活感の強い、落ち着いた街でした。
そして、その間にあるJR阪和線の「我孫子町」。
ここはまた少し違います。
阪和線独特の、
・昭和の生活路線感
・地上駅感
・踏切文化
・商店街との距離感
が強く「鉄道が生活の真ん中を走っている」
そんな空気がありました。
いつの間にか「高架駅」になっていた我孫子町駅
ただ、先日久しぶりに我孫子町駅へ行って驚きました。
いつの間にか「今風の高架駅」になっていたのです。
もちろん便利にはなっています。
踏切による渋滞も減り、視界も開け、駅周辺の導線も整理されている。
ただ同時に「昔の地上駅時代の空気が少し薄くなった」ような感覚もありました。
地上駅時代には、
・線路のすぐ横に生活がある
・踏切待ちをする
・商店街と線路が近い
・電車の音が街に溶け込む
そんな昭和的な空気がありました。
高架化によって視界は広がりましたが、その代わりに「地べたの大阪感」は少しずつ減っていったのかもしれません。
高架化で「視界」が広がる感覚
ただ、不思議なことに…。
私はこの「高架化」というものに、どこか人生そのものを重ねてしまいます。
若い頃は、
・目の前の勉強
・仕事
・生活
・人間関係
で精一杯でした。
いわば「地上駅」の視点です。
踏切や建物に囲まれ、遠くまでは見えない。
しかし年齢を重ねると、
・都市構造
・人の流れ
・経済
・インフラ
・社会全体
を、少し俯瞰して見られるようになってきます。
まるで「高架駅から街を見下ろす感覚」に近い気がするのです。
コンサルの仕事でも、部分最適だけではなく「全体構造を見る」ことの重要性を痛感してきました。
実は「さらに上」が存在するはずだった
そして、阪和線の高架化について考えていると、思い出すことがあります。
それが、以前記事にした「阪神高速・大阪泉北線」という幻の未成高速道路計画です。
※詳細はこちらの記事にまとめています。
当時は、
・1階:一般道路
・2階:高架化された阪和線
・3階:阪神高速大阪泉北線
という、三層構造の巨大都市インフラが本気で検討されていました。
しかし、阪神淡路大震災による高架倒壊の衝撃もあり、この計画は最終的に中止されます。
つまり現在の阪和線高架は、
「本来、さらに上が存在するはずだった都市構造」
の途中段階でもあるのです。
ひょっとしたら、私がサポートしているDXコンサルやAIアドバイザーの仕事も、実は、途中段階をToBe像としているのかもしれません。
そう考えると、現在の高架駅の景色も、また違って見えてきます。
おわりに
我孫子町駅の高架化によって、視界・導線・利便性は確実に向上しました。
ただその一方で、
・地上駅時代の生活感
・昭和の雑多さ
・線路と街の近さ
のようなものは、少しずつ薄れていった気もします。
そしてそれは、人間の人生にも少し似ているのかもしれません。
年齢を重ね、視界が広がり、社会全体を俯瞰できるようになる。
ただ、その代わりに、若い頃の「地べた感覚」は少しずつ失われていく…。
高架駅になった我孫子町駅を見ながら、そんなことをふと考えてしまいました。





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