消えた金融商品…公社債投信・MMF・中期国債ファンドの記憶と、金利上昇時代の資産運用

はじめに
少し前まで、日本では「金利」というものが、ほとんど存在しない世界でした。
預金金利は0.001%。
正直なところ「これは何の意味があるのだろう」
そう感じていた方も多いのではないでしょうか。
ただ、最近は少しずつ空気が変わってきました。
物価は上昇し、金利もじわりと上がってきています。
そんな中で、ふと思い出したのが、かつて存在していた「消えた金融商品」です。
公社債投信やMMFという存在
昔は、
・公社債投資信託
・MMF
・中期国債ファンド
といった商品が、当たり前のように存在していました。
いずれも、株式よりも安全資産寄りの商品として扱われていた金融商品です。
私自身も、これらの商品が好きでした。
理由はシンプルで、
「株式などに比べると大きな価格変動リスクを取りにくく、それなりの利回りが得られる」
という安心感があったからです。
金利を見るのが楽しかった時代
これは少し個人的な思い出になりますが、学生の頃、郵便局の定額貯金をよく使っていました。
当時は、3%前後の金利がついていて、しかも6ヶ月経てば解約できるという、今から考えるとかなり魅力的な商品でした。
アルバイトで稼いだお金を、そこに少しずつ入れていく。
それだけでも、ちょっとした楽しみがありました。
ただ、あるときマネー雑誌を見ていて、
「5%の金利がついている公社債投信」
の存在を知ります。
「こっちのほうがええやん」
そう思って、定額貯金から資金を移したことがあります。
今振り返ると大きな金額ではありませんが、当時は、
「金利を見るのがワクワクする」
そんな感覚が確かにありました。
5%という数字の正体(インフレとの関係)
今の感覚で見ると「ほぼリスクなしで5%」
というのは、かなり魅力的に映ります。
ただ、ここは少し冷静に整理しておく必要があります。
当時は、
・物価もそれなりに上昇していた
・金利水準そのものが高かった
という背景がありました。
つまり、
名目金利(表面の利回り)は高くても、実質的な価値はそこまで大きく変わらない
という側面もあります。
それでも「預けていれば増える」
という実感が持てたことは大きく、
それが資産運用への興味につながっていたのは間違いありません。
いつの間にか消えた「ワクワク」
それがいつの間にか、金利は「0」ばかりになり、気がつけば、金利そのものに興味を持たなくなっていました。
預金しても増えない。
安全資産で運用しても、ほとんど増えない。
そういう時代が、長く続いていたのだと思います。
若い世代との感覚の違い
ここは少し世代の話になりますが、今の若い世代の方は、
「金利がある世界」
そのものを、あまり経験していないかもしれません。
・預金してもほとんど増えないのが当たり前
・運用は株式や投資信託が中心
そういった環境で金融感覚が形成されています。
一方で、私たちの世代は、
「安全資産でも利回りがつく時代」
を、かすかにでも体験しています。
この違いは、資産運用に対する考え方にも影響しているように感じます。
なぜ消えたのか
これらの商品が姿を消した理由は明確です。
・ゼロ金利政策
・マイナス金利政策
この2つの影響です。
国債の利回りがほぼゼロになり、運用しても収益が出ないどころか、コストを考えると成り立たない状態になりました。
結果として
「運用すればするほど苦しくなる商品」
となり、自然と消えていきました。
今、何が起きているのか
では現在はどうでしょうか。
日本銀行の政策も少しずつ変化し、金利はゆっくりとですが上昇しています。
つまり「債券で利回りが取れる世界」が戻りつつあります。
これは非常に大きな変化です。
なぜ今、債券に人が流れるのか
最近感じるのは、
「不動産だけが選択肢ではなくなってきた」
ということです。
少し前までは、
・預金 → ほぼゼロ
・債券 → ほぼゼロ
・不動産 → 4〜6%
という構図でした。
そのため、
「利回りを求めるなら、不動産が有力な選択肢に見えやすい」
状況だったと思います。
しかし今は、
・預金 → 金利上昇
・債券 → 利回り回復
・不動産 → 利回り低下
という形に変わりつつあります。
すると当然ながら、
「わざわざ不動産にこだわる必要はあるのか?」
という視点が出てきます。
レバレッジという前提の変化
不動産投資の魅力は、やはりレバレッジです。
少ない自己資金で、大きな資産を動かすことができます。
ただし、ここには前提があります。
「借入金利よりも、投資利回りが高いこと」
です。
今は、
・借入金利 → 上昇傾向
・物件利回り → 低下
となっており、この差が縮まっています。
場合によっては、逆転する可能性もあります。
こうなると、レバレッジの効果は弱まります。
そして金融機関も、当然ながら慎重になります。
結果として、
「融資ありきの不動産投資」
その前提自体が、少しずつ変わってきていると感じています。
既存投資家としての立場
私は不動産については、新規ではなく既に物件を保有している投資家側の人間です。
法人・個人で複数の区分マンションを保有し、不動産賃貸業を行っています。
この点については、ある意味で恵まれているとも感じています。
過去の比較的良い条件で取得した資産を持ちながら、今の環境を冷静に見ることができるからです。
ただ、だからこそ悩ましいのが、
「これから追加で投資すべきかどうか」
という点です。
現物資産の安心感
正直なところ、不動産には独特の安心感があります。
・実物として存在する
・自分でコントロールできる
・インフレにある程度強い
こういった要素です。
これは理屈というよりも、「感覚」に近い部分かもしれません。
それでも、環境は変わっている
ただ、冷静に考えると、今は明らかに環境が変わっています。
低金利という強力な追い風があった時代から、金利がある程度存在する時代へ。
言い換えると「不動産しか選べなかった時代」から「選べる時代」へと移行しているように感じます。
これからどう考えるか
現時点での私の考えはシンプルです。
・既存の不動産はそのまま活かす
・新規投資は無理に行わない
・債券や現金も選択肢として持つ
という形です。
不動産か債券か、どちらか一方ではなく、それぞれの役割を分けて考える方が自然だと感じています。
おわりに
公社債投信やMMFを思い出したのは、単なるノスタルジーだったのかもしれません。
ただ、その記憶をたどっていく中で、ひとつ気づいたことがあります。
それは、
「異常な低金利時代が終わりつつある」
ということです。
そしてそれは同時に、私たちの資産運用の前提が変わることを意味しています。
これからは「何を選ぶか」だけでなく「なぜそれを選ぶのか」を、より丁寧に考える時代になっていくのかもしれません。





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