AI全盛時代にコンサルは消えるのか?27年間の現場で見えてきた4つの変化とこれからの役割

はじめに
ここ数年、生成AIの進化によって、コンサルティング業界にも大きな変化の波が来ています。
「コンサルはもう不要になるのではないか」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。
私は、コンサルタントとして、約27年間、現場に携わってきました。
紆余曲折を経て、現在はフリーランスのコンサルタントをやっています。
長年コンサルティングの実務を進める立場として、私は少し違う感覚を持っています。
結論から言うと、
「コンサルビジネスは消えない。ただし、構造は大きく歪む」
そう考えています。
今回は、現場感覚をベースに、
・AIとコンサルの役割分担
・若手育成の問題
・今後のビジネスモデルの変化
このあたりを整理してみたいと思います。
①コンサルビジネスは消えないが「中抜け」は起きる
まず前提として、
「コンサルという仕事そのものがなくなる可能性は低い」
と感じています。
理由はシンプルで、
企業は「意思決定」と「実行」を外部に求め続けるから
です。
AIは確かに強力ですが、
・最終判断
・リスクの引き受け
・組織への説明責任
ここはどうしても人間の領域になります。
ただし、構造としては変化が起きます。
従来のようなピラミッド構造は崩れ、
・上位:意思決定・責任・政治(残る)
・下位:作業・分析(AIに置き換え)
・中間:そこそこ分析できて資料が作れる層(価値が曖昧化)
という形で、
「中抜け」が起きる可能性が高い
と感じています。
②AIとコンサルの役割分担は明確
現場で感じている変化の一つが、役割分担の明確化です。
AIの領域
・調査
・データ分析
・資料作成
・文章推敲
・論点整理のたたき台
人間(コンサル)の領域
・意思決定支援
・組織調整(根回し)
・政治的判断
・実行マネジメント
・責任の分担
特に、
「人を動かす」という仕事は、人間側に強く残る
と感じています。
企業の現場は、
・利害関係
・感情
・過去の経緯
といった政治的・非構造的な要素が多く、これはAIが苦手とする領域です。
ただし、ここで一つ重要な前提があります。
「この役割分担は固定ではない」
という点です。
例えば、
・会議ログや組織構造をもとにした説得シナリオの提案
・意思決定パターンの分析
といった形で、
AIが「根回しの設計」まで支援してくる可能性は高い
と感じています。
つまり、
AIは「実行」ではなく「設計側」にじわじわ侵食してくる
この前提で見ておく必要があります。
③若手コンサルの役割は変わる(育成モデルの断絶)
従来、若手の役割は、
・リサーチ
・Excel分析
・資料作成
といった業務が中心でした。
しかし、これらはほぼAIに置き換わるでしょう。
その結果として起きるのは、
「育成のための仕事」が消える
という問題です。
これは非常に大きな構造変化です。
これまでのように、
「下積み → 徐々に理解」
という育成モデルが成立しにくくなります。
ただし、これは単純な「育成崩壊」ではなく、
「育成モデルの断絶」
と捉えた方が近いと感じています。
今後は、
・AIを使った高速仮説検証
・疑似プロジェクト経験
・早期からの意思決定関与
といった形で、
最初から高い抽象度に触れる人材
が増えていく可能性があります。
④コンサルから「実行型ビジネス」へのシフト
もう一つの大きな流れとして、
「助言」から「実行」へのシフト
を感じています。
従来のコンサルは、
・分析
・提案
・実行はクライアント
というモデルでした。
しかし、AIが分析や資料を担うことで、
「提案だけ」の価値は相対的に低下する
可能性があります。
その結果として、
・実行まで伴う
・成果責任を持つ
・投資を伴う
といった「PEファンド」に近いモデルが強化されていくと思っています。
私自身、このあたりは別記事でも整理しています。
ただし、ここも一点補足があります。
このモデルは、
業界全体の主流になるというより「上位層が移行する領域」
と見る方が現実的です。
理由は、
・リスクを取れる人が限られる
・資本を持てる人が限られる
ためです。
まとめ
ここまでを整理すると、構造は次のようになります。
・コンサルは消えないが、中抜けして構造が歪む
・AIは思考の効率化装置として機能する
・AIは設計領域にまで徐々に入り込む
・人間は意思決定と実行の主体として残る
・コンサルは「助言業」から「実行業」へ近づく(ただし一部)
そして個人的には、
コンサルタントの価値は二極化する
と感じています。
言い換えると「どのポジションにいるか」によって、AIは脅威にもレバレッジにもなるということです。
AIの進化は大きな変化ですが、
見方を変えると、
「コンサルという仕事の本質がよりはっきりする」
とも言えます。
考える・決める・動かす・責任を持つ…
このあたりに価値が集約されていく。
そう考えると、
むしろこれからのほうが面白い時代になっていくのかもしれません。






ディスカッション
コメント一覧
それ中間管理職と何が違うの?
いうつ様、コメントありがとうございます。
確かに、かなり近い部分はあると思います。
特に、調整・説明・利害整理・実行推進あたりは、中間管理職とコンサルで重なる部分も多いです。
一方で、違いがあるとすれば「社内の立場を持たずに横断的に動く」点かなと感じています。
中間管理職は、既存組織の責任や人間関係の中で動きますが、
コンサルは比較的外部の立場から、複数部門・経営層・現場・ベンダーを横断しながら整理する役割を持つケースが多いです。
また、最近はAIによって「分析して綺麗な資料を作るだけ」の価値が下がりつつあるので、
結果として、人を動かす・合意形成する・実行を前に進める…
という、中間管理職に近い能力の重要性が上がっているのかもしれません。