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天王寺の書店の記憶…ユーゴー書店と喜久屋書店があった頃

大阪中部

はじめに

大阪・天王寺。

今でこそ再開発が進み、「あべのハルカス」を中心に大きく姿を変えた、若者中心の街になりました。

ただ、私の中には、もう少し前の風景がはっきりと残っています。

もう少し、昭和でディープで伝統ある風景が。

その中でも、ふと思い出すのが「書店」です。

かつての天王寺には、当たり前のように立ち寄っていた書店がありました。

ユーゴー書店、そして喜久屋書店。

今回は、その記憶を少したどってみたいと思います。

ユーゴー書店という「日常の場所」

私が特によく通っていたのは、ユーゴー書店でした。

現在53歳の私が高校生くらいの頃でしょうか。

漫画(キン肉マンとか北斗の拳)やファミコン・スーパーファミコンの攻略本などを立ち読みした気がします。

勉強用の参考書や問題集もついでに買ったこともあったかな…。

天王寺に出たとき、特に用事がなくても、なんとなく足が向く場所。

入口を入ると、少し雑多な空気と、本の匂い。

時間帯にもよるのでしょうが、2階とか、とても居心地が良く、不思議と落ち着いた感じだった記憶があります。

今思えば、あの時間は「買うため」ではなく、「そこにいるため」の時間だったのかもしれません。

当時はまだネットもなく、本との出会いは店頭がすべてです。

棚を眺めて、気になる背表紙を手に取る。

そんな時間の過ごし方が、当たり前にありました。

ユーゴー書店は、そういう

「何も買わなくても成立する場所」

だったように思います。

このユーゴー書店は、2011年に閉店しています。

記録としてははっきり残っていますが、私の感覚としては、

「いつの間にかなくなっていた」

という印象のほうが強く残っています。

喜久屋書店の「安心感」

一方で、天王寺の書店といえば、やはり喜久屋書店の存在も外せません。

売り場面積が広く、品揃えも豊富。

「とりあえずここに行けば何でもある」

そんな安心感のある書店でした。

ユーゴー書店が「日常の寄り道」だとすれば、喜久屋書店は「目的を持って行く場所」。

同じ書店でも、役割が少し違っていたように感じます。

この喜久屋書店阿倍野店も、2025年に閉店しています。

比較的最近まで残っていた書店だっただけに、

「ついにここもか」

と、時代の一区切りのような感覚を持った方も多いのではないでしょうか。

書店の風景が変わっていく

こうして振り返ると、天王寺の書店の風景は、この十数年で大きく変わりました。

かつては、街の中に自然に書店が点在していて、ふらっと立ち寄ることができました。

今は、大型商業施設の中に集約される形になっています。

書店一覧

現在の天王寺で書店といえば、

・紀伊國屋書店 天王寺ミオ店
・ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店

といった大型店が中心です。

どちらも規模が大きく、品揃えも充実しています。

便利になったのは間違いありません。

それでも残る違和感

ただ、便利さと引き換えに、何かが少しずつ失われているような感覚もあります。

それは「偶然の出会いの場」です。

ネットで本を探すと、どうしても目的の本に最短距離でたどり着く動きになります。

一方で書店は、目的がなくても成立する場所でした。

時間を持て余して、なんとなく本棚を眺める。

その中で、思いがけない一冊に出会う。

ユーゴー書店での何気ない時間や、喜久屋書店での本探し。

そういった記憶は、今でも断片的に残っています。

おわりに

街は変わります。

天王寺も例外ではありません。

ユーゴー書店がなくなり、喜久屋書店も姿を消し、書店の役割は大型店へと移っていきました。

天王寺の変化は、書店だけではありません。

そして、もっと古いので、記憶に残っている人も少ないのかもしれませんが、書店だけでなく、下記2つの鉄道も、天王寺から姿を消しています。

それは自然な流れなのだと思います。

ただ、昔よく通っていた書店の記憶は、意外と長く残るものです。

ふとした瞬間に思い出して、少しだけ懐かしくなる。

そんな「街の記憶」のひとつとして、天王寺の書店は、これからも自分の中に残り続けるのだと思っています。

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Posted by かずきび47