不動産投資は同じゲームではない…2011年以降の市場を4つのフェーズで整理する

最近、不動産投資の本を読んでいて、少し違和感を覚えることがあります。
書かれていること自体は正しいのですが、今の市場の空気とは少し違うように感じるのです。
「家賃でローンを返す」
「キャッシュフローを積み上げる」
「会社員の信用を使って資産を作る」
どれも合理的な考え方です。
ただ、その成功体験の多くは、特定の時代の金融環境の中で成立したものでもあります。
不動産投資は同じゲームのように見えて、実は時代によってルールが少しずつ変わるものです。
そこで今回は、2011年以降の日本の不動産市場を、4つのフェーズに分けて整理してみたいと思います。
その前に、少しだけ自分の話を書いておきます。
私が不動産を買い始めた理由
私が不動産を購入し始めたのは2010年代の始め頃です。
当時の私は、まだ会社員でした。
そのため、会社員としての「信用・与信枠」を使えるうちに、将来のセーフティネットを作っておこうと考えたのです。
イメージとしては「生活の防具」のようなものです。
購入したのは大阪市内の区分ワンルームマンションでした。
当時の条件は比較的シンプルでした。
・空室リスクが低い立地
・利回り7〜8%
・金利は低い(約1%)
結果として、家賃収入からローン返済を行っても、一定のキャッシュフローが残る状態でした。
この条件なら迷う理由はあまりなく、比較的即決で購入しました。
こうして個人で、合計10戸近く取得することになります。(後に法人も絡めることになるのですが…)
当時の空気感としては、
「知っている人だけがやっている副業」
という印象でした。
まだ今のような不動産投資ブームではなく、周囲でも
知識があり、実行力のある人だけがやっている
そんな雰囲気だったように思います。
フェーズ①(2011年〜2015年)
金融緩和初期
この時期の特徴は、金融が緩み始めたが、まだ価格が動いていないという状態でした。
2013年にアベノミクスが始まり、日銀の金融緩和が進みます。
ただし当時は
・人口減少
・デフレ
・地方衰退
といった話題の方が多く、不動産投資が広く注目されていたわけではありません。
そのため、都市部でも利回り7〜9%という物件が普通に存在していました。
結果として振り返ると「金融と不動産価格のズレ」があった時期だったと言えます。
金融は先に動き、資産価格は後から動く。
このズレがあるとき、投資は成立しやすくなります。
フェーズ②(2016年〜2020年)
金融緩和ピーク
2016年、日本銀行はマイナス金利政策を導入します。
ここから金融環境は大きく変わりました。
金融機関の融資が拡大し、サラリーマン不動産投資も広がります。
一方で、
・物件価格は上昇
・利回りは低下
していきました。
都市部では
利回り4〜5%
という水準も珍しくなくなります。
そして2018年、かぼちゃの馬車問題が起きます。
スルガ銀行の不正融資問題などが発覚し、不動産融資は急激に引き締まりました。
この時期は
「金融拡大→投資ブーム→不正融資問題→融資引き締め」
という流れで終わりました。
フェーズ③(2021年〜2025年)
コロナとインフレ
2020年、コロナが発生します。
各国の中央銀行は金融緩和を拡大し、金利は歴史的低水準となりました。
一方で、
・ウッドショック
・資材価格上昇
・建築費上昇
などが起きます。
新築価格が上昇し、中古物件の価格も押し上げられました。
結果として、
価格上昇 × 超低金利
という環境が続きました。
都市部では供給不足もあり、不動産価格は上昇を続けることになるのです。
フェーズ④(2025年〜)
金利上昇期
ここから先はまだ進行中であり、断定することは難しい段階です。
ただ、構造としては
・物件価格→高い
・金利→上昇
・建築費→高止まり
という状況になっています。
これは過去10年の日本ではあまり経験していない組み合わせです。
同じやり方は通用しないかもしれない
2010年代に私が購入した物件は
・利回り7〜8%
・低金利
・空室リスク低い
という条件でした。キャッシュフローも出ていました。
しかし今同じ条件で探そうとすると、
・利回り→半分程度
・金利→上昇
というケースも多く、持ち出しになる可能性もあります。
つまり、同じ戦略を今そのまま再現するのは難しい可能性があります。
不動産投資は金融ゲームでもある
不動産投資というと、立地、管理、空室対策…といった個別の努力の話が多くなります。
もちろんそれも重要です。
ただ、それと同じくらい「金融環境」の影響も大きく受けます。
成功体験を読むときには、
「その成功はどの時代に生まれたのか」
という視点も持っておく必要があるのかもしれません。
さいごに
不動産投資には普遍的な部分もあります。
ただ同時に、
・金融政策
・金利
・資材価格
などによって、ゲームのルールは少しずつ変わり続けていきます。
だからこそ、成功者の体験談よりも先に
「今どのフェーズにいるのかを考えること」
それが、不動産投資を考えるときに、遠回りのようで実は大事な視点なのかもしれません。





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