相続対策は順番が大切…株式の取得原価と納税資金を先に確認する

相続の相談で意外と多いのが、
「財産はそれなりにあるはずなのに、実態がよく分からない」
というケースです。
とくに多いのが、
・昔から保有している株式
・相続税の支払いに使える現金がほとんどない
という組み合わせです。
今回は、この2点に絞って、相続対策の超基本を整理してみたいと思います。
まずは古い株式を「可視化」する
親世代・祖父母世代が保有している株式は、購入時期が何十年も前ということが珍しくありません。
証券会社も複数に分かれていたり、そもそもどこで管理されているのかさえ分からないこともあります。
相続対策の第一歩は、とにかく株式をすべて洗い出して可視化することです。
・どの証券会社にあるのか
・銘柄は何か
・株数はいくらか
・特定口座か一般口座か
これが分からない状態では、評価も売却も進められません。
相続が発生してから慌てて探すと、時間も手間もかかり、精神的な負担も一気に増えます。
「今すぐ売るかどうか」
は別として、存在を把握して一覧にすることが最重要です。
次に確認すべきは「取得原価」
株式を可視化できたら、次に必ず確認したいのが、取得原価(買ったときの価格)です。
なぜなら、相続後に株式を売却すると、譲渡所得税の計算で取得原価が必要になるからです。
ここで問題になるのが、取得原価が分からない場合です。
取得原価が不明な場合、税法上は
「売却価格の5%を取得費とみなす」
というルールが適用されます。つまり、
・売却価格の95%が利益扱い
・そのほぼ全額に税金がかかる
という、かなり厳しい計算になります。
長期保有で大きく値上がりしている株式ほど、この影響は甚大です。
一方で、証券会社に履歴が残っていれば、取得原価が分かるケースも多くあります。
古い株式でも、管理会社が現在の大手証券に統合されていることもあります。
「どうせ分からないだろう」と決めつけず、確認する価値は十分にあると思っています。
現金は「評価」より「支払い」に使う
一方、現金については評価方法そのものはシンプルです。
相続開始時点の預貯金残高が、そのまま評価額になります。
問題は、評価よりも使い道です。
相続税は、原則として現金で納付しなければなりません。
ところが、財産の多くが株式や不動産に偏っていると、
・相続税を払うために株を急いで売る
・市場環境が悪くても売却せざるをえない
といった事態が起こります。
これを避けるために有効なのが、生命保険の活用です。
相続税の納税資金確保という意味で、生命保険が有効なケースがある
生命保険は、
・相続発生後、比較的早く現金が入る
・受取人固有の財産として扱える
・一定額まで非課税枠がある
といった特徴があります。
相続税の「評価対策」というより、納税資金の確保として非常に相性が良い手段です。
現金がほとんどない家庭ほど、保険で最低限の納税資金を準備しておくことで、株式や不動産を無理に処分せずに済みます。
これは、相続人間のトラブル防止という意味でも効果的です。
まとめ:評価の前に、順番を間違えない
相続対策というと、節税テクニックに目が行きがちですが、実務では順番が何より大切です。
・古い株式を可視化する
・取得原価が分かるかを確認する
・現金(納税資金)をどう確保するか考える
この3点を押さえるだけで、
「知らなかったせいで税金が跳ね上がる」「納税のために慌てて資産を売る」
といった事態はかなり防げます。
相続は、起きてからでは選択肢が一気に狭まります。
だからこそ、静かなうちに、淡々と整理しておく。
これが、結果的に一番コストの低い相続対策だと感じています。






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