2−6−2の法則から見える「業務改革・DX改革の難しさ」

世の中のほとんどの組織や集団には、2−6−2の法則が働いていると言われます。
上位2割は、何も言われなくても勉強し、動き、成果を出す「先進層」。
真ん中の6割は、言われれば動く「中間層」。
そして下位2割は、言われても動かない、変化を避ける「抵抗層」。
学校でも職場でも町内会でも、なぜかこの比率に近い形で人が分かれています。
私自身、業務改革コンサルタントであり、27年超、現場でさまざまな企業改革を見てきました。
しかし、2−6−2の法則の例外は、ほとんどありませんでした。
・全員が賛成
・全員が反対
という状況は、ほぼないのです。
IT技術の導入にも現れる2−6−2構造
マイナ保険証、デジタル教科書、スマホ、AI、業務改革…
新しい技術を導入する場面でも、2−6−2の法則は如実に表れます。
上位2割は、特に指示がなくても興味を持ち、自分で調べて勝手に使いこなす層。
彼らは「新しいものが好き」「効率化できるならすぐ試したい」というタイプで、まさに組織の変革ドライバーです。
真ん中の6割は、言われたらやる層。
面倒ではあるものの、必要だと言われれば適応していく。組織を動かすうえで、この層の「巻き込み」が実質的な勝敗を分けます。
そして最後の2割は、「知らない」「やりません」で固まってしまう層。
新技術の良し悪しの前に、「変わりたくない」という感情が先に立つため、導入プロジェクトのブレーキになりがちです。
全員を動かす必要はない…でも「無視してはいけない」
改革のプロジェクトが失敗する一番多い原因は、
「全員を一気に動かそうとすること」
です。
本来は、まず上位2割に手を挙げてもらい、モデルケースとして成功例をつくります。
次に、真ん中の6割に「必要性」と「メリット」を丁寧に伝えて巻き込んでいく。
この流れが自然で、実務的にも成功確率が高いです。
では、下位2割は切り捨ててよいかというと、そうではありません。
彼らは「最後尾」に見えて、実は組織の世論形成や空気感に強い影響力を持つことがあるからです。
表向きは静かでも、水面下で不満が広がれば、中間層が動かなくなります。
プロジェクトが止まる理由は、必ずしもロジックではなく、感情や政治的力学にあるのです。
だから「セーフティネット」をどう敷くかが重要になります。
サポート体制、分かりやすいマニュアル、相談窓口、導入スケジュール……。
抵抗層を「敵にしない」ための配慮は、改革成功の見えない鍵になります。
AIがあっても、結局は「人間系の調整」で苦労する
最近は「コンサルはAIに置き換えられる」とよく言われます。
確かに、資料作成や調査、分析といったタスクはAIが高速で代替できるようになりました。
しかし、もし本当にコンサル実務がAIだけで完結するなら、2−6−2の法則はとっくに過去のものになっていたはずです。
実際には、
・納得してくれない人がいる
・感情的に反発する人がいる
・プロジェクトの目的を理解していない人がいる
・「前例がない」と言って止める人がいる
・全体最適よりも個別最適を好む人がいる
つまり、人間が絡む限り、2−6−2構造は消えないのです。
どれだけ優れた仕組みを用意しても、結局ぶつかるのは「人をどう動かすか」という根深いテーマです。
コンサルタントの仕事が残り続ける理由は、この「政治的調整」と「心理的障壁の突破」にあると言っても過言ではありません。
2−6−2の法則は「絶望」ではなく「地図」になる
この法則を知ると「どうせ2割は動かない」と悲観しがちですが、むしろ逆だと思っています。
どこに力を入れるべきか、どこに罠があるのかが分かる「地図」として活用できるためです。
・まず先進層を味方につける
・中間層のメリットを丁寧に示す
・抵抗層にはセーフティネットを準備する
DX改革も、AI導入も、この視点があるだけで驚くほどスムーズになるのです。





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